みどり台 木造3階建ての集合住宅
物件名: |
みどり台のアパート |
場所: |
千葉県 |
構造: |
木造 |
階数: |
地下3階建て |
今回の立地について
旗竿敷地
今回は千葉県にて、集合住宅を設計、建設させていただきました。立地は都心から1時間程の住宅街で、駅からは徒歩約5分。閑静な住宅街にある物件でした。
すでにある家の建替えで、北側8mの道路に接道している「旗竿敷地」です。
オーナー様は、いくつか他社様の2F建てアパートの提案を受けていましたが、収益性がいまいちのため弊社にご相談に来られました。
今回の課題
木造3階建ての旗竿地
立地は閑静な住宅街にあり駅からも近く居住環境もとても良いのですが、都心から少し距離もあるので家賃単価は高くは設定できません。そこで、施工費を抑えるため、構造は「鉄筋」ではなく、「木造」を採用することとしました。
入居者ターゲットとしては、千葉県主要駅までのアクセスも良く、また近くに大学キャンパスもあることから20~30代向け単身者をメインターゲットとしたプランとしました。
次に、事業の収益性を高める為、2F建てではなく、なんとか3F建てを作れないか?を考えました。これ、言うのはカンタンなのですが、いざ作ろうとすると、色々と問題が出てきます^^;
木造で3階建ての集合住宅をつくるには、実は法律でクリアしなければいけない問題が山積みになります。
木造の3階建ては難しい
木造での3F建ては地域・場所によって「規制」が大きくちがいます。一軒家と違い、「共同住宅」「アパート」を作る場合は建築基準法上規制がとても厳しく設定されています。
安全に住むための配慮なのですが、ちょっと規制しすぎ...と言えます。
基本的に、鉄骨など「耐火建築物」でないと3階建て以上の共同住宅の建築は認められていません。木造で3階建ての共同住宅を作る=「木3共」仕様をつくるには、以下のような規制を突破しなければなりません。
規制には以下のようなモノがあります。
・構造部分が1時間火に耐え、遮煙性、遮熱性を維持できるか? ・戸外の通路が外気に解放されているか? ・避難に利用できるバルコニーが各戸にあるか? ・3階の各戸の扉や窓部分に防火設備が使われているか(準防火地域)? |
さらに、
・防火地域以外であるか? ・建物と隣の敷地の間が3mあるか? ・地階を除く階数が3で、3階のすべてが共同住宅か? |
駅前などは住居、店舗が密集しているので、「防火地域」に指定されている事が多く、3階以上の木造建築には向いていません。
まずは道路に接する「竿」部分の幅は最低4Mなければいけません。
建物を作る場合、近くに似たような物件があるからといって、同じように作る事ができないのが現状です。
他社との違い
最大限に戸数を増やす
物件の利回りを増やすには、家賃をあげるか?戸数を増やすか?満室にするか?など方法があります。
立地は変える事ができません。
そうであれば、部屋の数を最大にする必要があります。
今回は、旗竿地の「旗」部分に快適に住みやすい住戸プランを4つ作りました。
通路の作り方
戸外の通路が外気に解放されているか?
今回の物件は、木造の三階建てなので、通路が外気に触れている必要があります。
解放感が出るようにしています。難しいのが建物の敷地と通路の幅です。
廊下の幅を広くした方が建物に高級感があるのですが、部屋の間取りが小さくなってしまいます。今回は、最低限の広さにして、その分、部屋を広く作りました。
鉄筋で建物を作る場合、上の写真のように、通路を外に開放して作る必要はありません。この作りだと、雨に濡れるなどの心配はないわけです。
防犯上も、こちらの方が優れていると言えます。
今回は、木造で3階建てをつくるために、さらに「避難バルコニー」「開放廊下」「開放階段」「防火設備サッシ」といった法規制など、法律をクリアしたデザインを作っていきます。
屋根はカットしなければ
高度斜線とは?
建築基準法では、北側に接している家の「採光」を確保しなければいけません。今回は、「高度斜線」をクリアする必要がありました。
そのため、屋根をカットして隣地に光が入るように建物を設計しました。
隣地の北側から規制が厳しい「高度斜線」をクリアするために、図のような階高設定・及び共用階段の形状としました。
また、屋根も形状、勾配も工夫しています。
3階の3住戸は様々な規制をクリアした上でロフト空間を設けました。
ロフトのメリット
固定資産税を抑え入居者にもメリットを
3階にはロフトのある部屋をつくりました。さらに、階段にも収納が出来るように工夫をしました。
ロフトは、部屋が広く使える反面、またもや規制があります。
・床面積がロフトがある階の床面積の2分の1未満であること ・ロフトの天井の高さはもっとも高い部分で1.4m以下 ・ロフトの床面積が8分の1を超える場合には、構造強度を保つために各階の壁を増やさなければならない |
などの規制をクリアする必要があります。
しかし、「固定資産税を抑える」というメリットがあります。ロフトは法定床面積に含まれないため、固定資産税の対象とならないというメリットがあります。三階建て住居を建てると固定資産税の対象となりますが、固定資産税を抑えて収納スペースを増やしたいというときは、ロフトが活躍してくれます。
様々な規制をクリアして、旗竿敷地に最大限のボリュームで、ゆとりある単身者向け住戸を12戸作ることができました。
外観
外観は瀟洒で飽きの来ないデザインとしました。
外壁材は施工費を抑えるためサイディングとしていますが、アパートに見えないような高級感の出るものをセレクトしています。
今案件は外観、内装、間取りにいたるまで、お施主様の素敵なアイデアもたくさん取り入れた計画となっています。
正面の壁はアクセント壁とし、アッパーライトを当て夜間の演出としています。
アプローチ部分にスポットライトを交互に配しています。美しさとワクワク感を演出しています。 入居者様だけでなく、道行く人の目を引く工夫もしています。
夜に物件を見に来た人に「お~~!!」と思ってもらうだけで、入居率は大きくアップします。
隣地のブロック塀があまりオシャレとは言えませんでした。古くて、雨のしみこんだ外壁になっていました^^;
外壁の上にブロックを貼り、さらに、低いフェンスを取り付けました。これによより、隣地との目隠しができ、さらに景観がより美しくなりました。
お風呂は壁の一面を色を変えています。これだけでお風呂の雰囲気がおしゃれになります。
キッチンは2口のIHにして、おしゃれなレンジフードも取り付けました。なるべく予算がかからず、オシャレに見せる工夫をしています。
3F住戸のロフトです。階段は収納が出来るようにしました。あえて、穴の大きさを変えて、洋服、小物などを収納出来るように作ってあります。
ロフト部分は、コンセントをつけておき、スマホの充電や、扇風機の電源として利用できるようにしておきました。
こちらのタイプは特に大人気であっという間に入居が埋まりました。
今回のプランについて
ご協力いただきありがとうございました
最後まで読んでいただきありがとうございます。プラスデザインの美農と申します。建築資材、建築費用が高騰して、建物が高くなっている時代になりました。
鉄筋よりも、木造3階建てで作る。という要望が増えているように感じます。
建物を作る場合、予算、立地、入居率、差別化など、考える事がたくさんあります。安いからと言って、どこにでもあるような建物を作っても赤字になる。
しかし、予算はあまりかけられない...これからの時代は、いかに予算をかけずに、工夫するか?が問われてくる時代になったのかな?と感じます。
難しい時代ではありますが、時代の変化に合わせて、今後も工夫、精進していこうと思います。
一つの建物が完成するまで本当にたくさんの方のご協力が必要です。 お施主様及び各協力業者の皆さま、本当にありがとうございました。
今回も、よい建物が作れたので、よかったです。次の物件も、プラスデザインだからできる、建物にしていこうと思っています。
物件名: |
みどり台のアパート |
場所: |
千葉県 |
構造: |
木造 |
階数: |
地下3階建て |
実績のご紹介です
マンションの設計、アパートの設計実績をご紹介いたします。プラスデザインではアパート、マンションだけでなく自宅、店舗の設計もしております。お気軽にご相談くださいませ。
はじめまして、代表の美農です
はじめまして、プラスデザインの美農と申します。
私は多くの物件を手掛けてきました。そのなかで、たくさんの矛盾をみてきました。
だからこそ、わかることがたくさんありました。
土地活用は良い建物を、良い企画のもとで作り、安心・安全に運用していくところまで考える必要があります。多くのノウハウと実績のあるプラスデザインにおまかせくださいませ。
完成までの流れについて
ご相談から、完成までの流れです。お客様の要望や予算を聞いて、オリジナルでプランをお作りいたします。
プラスデザインでは完成した後も、アフターフォローいたします。借り入れや融資についてのご相談も大丈夫です。
ご相談からはじまり、工務店の選定、プランニング、契約、建築確認申請、地鎮祭、管理、いくつもの工程を経て、完成となります。 建物は、作ってからが始まりです。管理方法などもきちんと説明させていてただきます。